まっすぐ切れること
実はこれ、研ぎ方やソーチェンの種類によらず結構難しいです。長いバーで太い木を切る時などでは途中で切れ曲がって効いてしまってチェンソーが止まってしまうことがあります。
なぜ曲がってしまうのでしょうか?いくつか理由があります。チェンソーはたくさんのカッターがついています。例えば、コマ数(ドライブリンク、足の数)が 60コマのレギュラーシーケンス(
*1)のソーチェンを例にすると、カッターはコマ数の1/2で全部で 30個、右カッターと左カッターがそれぞれ 15個ずつある計算になります。これらがすべて同じ切れ具合で同じ量を切ってくれればまっすぐ切れていくはずです。
しかし、30個のカッターのうち、どれかがうまく研げていない、左右のカッターで形、角度、大きさが異なる、デプスゲージの高さが不揃い、あるいはダメージを受けているカッターがあったりすると左右で切り進む量が変わってきて徐々に曲がってしまうことがあります。
Vallorbe の目立て角についての解説 YouTube動画。 2分くらいのところから目立て角の不揃いにより切れ曲がる現象の解説部分が見られます。
50コマのレギュラーシーケンスのソーチェンの場合を考えてみます。カッター数は 1/2 で 25個、右カッターが 13個だとすると、左カッターは 12個となりどこかで右カッターが2個続けて並ぶことになります。左右でカッター数が違うので切り曲がりそうですが、経験から、ソーチェンがよく目立てされている時はそんなに大きな影響はありません。おそらく、左右のカッター数がひとつ違うことよりも、痛んだ刃による抵抗や、カッターの目立ての不揃いの方が影響するのではないかと想像します。
連続する右カッター
新品のソーチェンをよく見てみると、左右で微妙にカッターの大きさや形状がちがったりするものがあることに気づくと思います。デプスゲージジョインターをあててみても微妙に差があることがあります。競技やチェンソーミルでの製材などより正確性が求められる場合、カッター長さよりもデプスゲージからの距離で揃える方が良いかもしれません。
もうひとつ、ガイドバー付け根にあるバンパースパイクを木に突き立てて、そこを支点に梃子の原理でこじて切る切り方があります。ガイドバーを挟んで両側にあるダブルスパイクなら良いのですが、一般的な片側スパイクだと、支点がバーとずれるのと、リアハンドルと支点とバーの位置関係の問題もあって、右手、リアハンドルに力をかけてこじると簡単に切れ曲がってしまいます。
また、ガイドバー自体が少し曲がっていたりねじれてしまっていたりする場合も切れ曲がりします。
まとめると、切れ曲がりせずまっすぐ切るには..
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すべてのカッターの上刃、横刃の角度、研げ具合、形、大きさがよく揃っていること
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すべてのカッターのデプスゲージ高さが正確に揃っていること
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ガイドバーに曲がりがなく、レールが左右均等でガイドバードレッサーや平やすりなどでバリが適切に処理されていること
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切断の時、バンパースパイクはチェンソー固定のために使う程度とし、そこを支点に強くこじないこと (ロングバーでスパイクを効かせたい場合はダブルスパイクを検討するとよいでしょう)
これらがクリアできてていると良いでしょう。
たくさんあるカッターをできるだけ同じ大きさ、形、切れ味に揃えるように研ぐのがソーチェンの目立ての難しいところです。
研いだカッターをよく観察して自分の癖 (左カッターがフック、あるいはバックスロープになってしまう、右カッターの上刃目立て角が鈍くなりがちなど..) を知って修正すると良いでしょう。慣れないうちは、目立て用の各種ジグを使用するのも手です。丸やすりで研ぐ場合、例えば..
などを使用すれば、丸やすりがカッターに入る高さ(上刃切削角)や上刃目立て角を比較的容易に制御できます。
また、より厳密に制御したい場合は、次のようなバーマウントタイプのジグを使うのが良いかもしれません。
ただし、これらを使用して丸やすりで研いで、大きさ、形、角度の揃ったカッターができただけでは本稿で扱う "ちょっと進んだ" までは届きません。;-) その先へ進みましょう。
大量にソーチェンを扱う方や、均一性、省力性が問題になる場合は、次のようなものもあります(一部国内販売なし)。
(*1)
: レギュラーシーケンス、あるいは、スタンダードシーケンスとは一般的なカッターの並び方。他に、竹切り用のフルカッターシーケンス、セミスキップシーケンス、フルスキップシーケンス、スーパー(ハイパー)スキップシーケンスなどがあります。Oregon の 旧カタログ 16ページに次のような説明があります。
フルスキップシーケンスのソーチェンは、一部、長野県と
群馬県、
千葉県で取り扱っているところがあります。Amazon で出鱈目な内容で出品されているものがあるので要注意!!
暴れずにスムースに切れること
回転しているソーチェンが木にあたった時に、はねてしまったり、くい込み過ぎて引っ張られたり、押し返されたりすることがあります。
こういう動きは危険で長時間の作業になると疲れて怪我をする原因にもなるので、できるだけ避けたい挙動です。
カッターの形、大きさ、角度がほぼ揃っているにも関わらず、ソーチェンが暴れる原因はいくつかあります。
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デプスゲージが全体的に低すぎる
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デプスゲージがカッターによってバラついており揃っていない
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横刃が強いフックである
あたりが考えられます。