Granberg File-N-Joint G106B (改) に PFERD と BAHCO のダブルベベルファイルをセットする


Ahthor: Shinichiro HIDA twitter: _shinichiro_
Created: Thu, May 04 15:22:53 JST 2023
Last modified: Sat, Jun 10 15:18:39 JST 2023

PFERD 1215 / EDP 17082 / 4 007220 539057
PFERD 1215 ダブルベベル チゼルビットファイル
BAHCO 4-150-07-3-0
BAHCO 4-150-07-3-0 ダブルベベルチゼルビットファイル
ジグの前後ファイルホルダ部分を削り、PFERD と BAHCO のダブルベベルファイルが水平から60°くらいまで回転できて、かつ脱落しにくいようにしました。また、ファイルがなるべく中心に、スライド軸と平行にセットできるようにするため、 φ8mmの樹脂棒とステンレスパイプに溝加工してアダプターを作成し内径 φ8mmの O リングでジグ内に軽くとどまれるようにしました。
付属アダプタ
  • 先端用 : 樹脂棒 φ8mm 溝加工
  • 末端用 : ステンレスパイプ φ8mm 溝加工
  • 脱落防止 : 内径 φ8mm ニトリルゴム O リング(先端末端各 1、計 2)
前後のファイルホルダー部分にセットした状態で発送しています。
PFERD, BAHCO ダブルベベルファイルのセット方法
  1. パッケージに入った状態では、ハンドルのついている末端側のファイルホルダーが10cm程度前側にセットされた状態になっています。前後のファイルホルダー部分にアダプタ、Oリングがセットされていることを確認してください。(画像の Tレンチは付属していません)
  2. まず、末端側、ハンドルのついているファイルホルダーの◯棒と□棒をはさみこんで固定しているマイナスネジを十分に緩め、やすりが入る長さがとれるように、◯棒、□棒の長さいっぱいの位置まで末端側ファイルホルダーを十分に下げて (ちょっと渋いですがこじたりせず、じわじわ下げてください。こじると折れます)、先に緩めたマイナスネジを軽く○棒が動かなくなる程度に締め込んでくださいこのネジを強く締めすぎるとネジ穴部分で鋳物が折れます。末端側ファイルホルダーの底部のネジ穴に付属の小さい方の蝶ネジを取り付けてアダプタのステンレスパイプに軽く当たる程度にセットしてください。
  3. 用意した Pferd、あるいは BAHCO の ダブルベベルファイルの末端側をファイルホルダーにセットされているステンレスパイプに通し、ファイルがアダプタの切り欠き溝にはまって軽く固定されるまで差し込んでください。ステンレスパイプのアダプタは O リングで軽くとまっているだけなので、後ろへ完全に押し出してしてファイルホルダから外れてしまわないように注意してください。
    もしもアダプタがファイルホルダから外れてしまったら、アダプタの溝の末端の位置に Oリングを取り付け、溝を内側へむけて、内側からファイルホルダへ挿入し、竹串やキャブ調整用などの小さなマイナスドライバなどで、Oリングをファイルホルダ中央あたり、蝶ネジの手前、未切削の部分の段差にあたって止まるくらいまで押し込んでください。
  4. 先端側のファイルホルダー底部にあるネジ穴に付属の小さい方の蝶ネジをセットし、軽くアダプタにあたる程度に締めてください。ホルダ内にある樹脂性アダプタを少し回転させて切り欠き溝がホルダ底面と平行になるようにして、ダブルベベルファイルの先端がしっかりとアダプタの溝の中に入り、かつ、ファイル先端がファイルホルダの中に入る程度まで前へ押し込んで適当な角度になるよう回転させて、前後のファイルホルダ底部の蝶ネジを軽く締めて固定してください。
    動画でアダプタ切り欠きを"水平"と言ってますが、"ファイルホルダ底部と平行"です。すみません。
  5. チェンソーに対象のソーチェンを取り付け、ソーチェンを少し強めに張った状態に調整し、作業しやすい位置に設置した万力やスタンプバイスでガイドバーをクランプし、ソーチェンがバイスに接触せず、手で回転させられる状態て固定してください。
  6. 万力やスタンプバイスの上あたりに、G106B(改) のガイドバー取り付け部分、ベース部をセットします。まず、ベース部横のネジ穴に大きい方の蝶ネジを取り付け、軽く緩めた状態でガイドバーをまたがせ、大きな蝶ネジを軽くしめて仮止めします。 次に、ソーチェンが横に振れないように押さえる部分のラインが、リベット3つの中心あたりにきて、ソーチェンと G106B(改) の平行がとれるように大きな蝶ネジを緩めて位置と角度を調整し、再度仮止めし、ソーチェンの横方向の押さえ金具から、リベット3つの上半分が均等に見えているような高さにセットし、ソーチェン横方向の振れ止めの両サイドから6角キャップボルトを両側均等に軽く手で締め、最後にベース部横の大きな蝶ネジも締め込んで位置を決めてください。この横振れ防止のキャップボルトを強く締めてリベット部分をきつくくわえてしまうと、次のカッターを研ごうとしてソーチェンを動かしたときに、ベース部が動いてしまいます。かるく触れる程度が良いでしょう。
    ソーチェン、カッターのタイプ、背の高さによっては、リベットが隠れる程度にセットしないとうまく研げないケースがあります。最終的には、実際にソーチェンにファイルをあてて調整してみてください。
  7. 付属の蝶ナットを用意してください。 先にガイドバーに取り付けたベース部に、ファイルスライド部を取り付けます。スライド部の◯棒に取り付けられているピボット部のボルトをベース部上部の台座の穴に上から差し込み、下側から蝶ナットで締め込みます。この時、バネのついた黒いスイングリミッターナットと干渉して蝶ナットを回しにくいので、あらかじめバネのついた黒いスイングリミッターナットを取り外しておいてください。 蝶ナットを回してスライド部を固定してからバネ付きの黒いスイングリミッターナットを元通りに取り付けてください。水平方向の角度は最初、30°にセットして、蝶ナットを締めて固定し、あとからソーチェン裏側の研げ具合を確認し好みに応じて調整してみてください。ソーチェンや組み合わせるファイル、求める仕上がり角度によって変わってきますが、おそらく 25°-35°あたりに良いポイントがあると思います。
  8. バネのついた黒いスイングリミッターナットの付け根にある蝶ナットを緩め、スライド部を受けている台座側を少し手前に引くと、ギザギザのノッチ状の噛み合わせが外れて回転できます。これを回転させてスライド部、ファイルのチルト(ダウン)アングルを決めます。噛み合わせをはずさずに強引に回すとなめてしまいますので注意してください。最初はダイヤル目盛を30°くらいの位置でセットして蝶ナットを締めてください。実際に数ストローク研いでみてソーチェン裏側の研げ具合を確認し、好みに応じてあとから微調整してください。
  9. ベース部後方の上部についているダイヤルで、ファイルの高さを制限できます。スクエアグランドファイリングの場合、ファイルがタイストラップやドライブリンク、ベース部のソーチェン横振れ防止の金具部分に干渉するので、最初はやすりがかなり高く浮いた状態になります。ファイルホルダー下部の蝶ねじを緩めて ファイルのひねり角を 50°程度に調整し固定したら、カッターにかする程度の位置にファイルを置いて、数回下方向へ軽く力をかけて干渉している部分を削り、ダブルベベルのカッティングコーナー部分がチゼルの外角に一致するように再度ひねり角を調整してから、ダイヤルを右 (RAISE 方向) に回してファイルの高さを制限するとよいでしょう。
    ソーチェン、カッターの種類、ファイルの種類によっては、ベース自体の取り付け位置をあげないとダイヤルの調整範囲に入ってこないケースがあります(Oregon の EXL と BAHCO の組み合わせなど)。ケースバーケースでベースの取り付け高さも調整して見てください
  10. まず、カッター後方に板状のカッターストッパーがしっかり当たっていて、押してもカッターが下がらない状態にします。チェンブレーキもかけるとなお良いでしょう。マスターカッター(最も小さな刃、あるいは、最もダメージの大きな刃)を数回研ぎ、カッター裏面を確認、各角度を微調整し、チゼルカッターのワーキングコーナーの外角と内角が直線で結ばれ、上刃 (20-25°)、横刃 (85-90°) の目立て角、上刃切削角 (50°前後) が希望の角度になっているか確認、微調整してください。良い角度がセットできたら、ダイアルの目盛をメモし、ファイルホルダーにファイルのひねり角の目安位置をマーキングしておいてください。
  11. マスターカッターが希望通りに研げたら、その位置でスライド部の□棒にバネのついた黒いスイングリミッターナットが接触するように調整します。ソーチェンを手で回して同じ方向の次のカッターを研ぎます。
  12. 次のカッターからは、□棒がスイングリミッターナットにあたるまで (やすりがかからなくなるまで) ストロークすれば、ほぼ同じ角度で同じ大きさのカッターが出来上がっているはずです。
  13. 片側が終わったらファイルを反転させます。上部ピボット部裏側の蝶ナットを緩め、ファイルホルダーのハンドル部分を逆側へ反転し、チルト角も同じ数字の目盛位置にセットしてください。ファイルは 90°を越えて回転させることはできないようにしてあるので、一旦水平方向へ戻してひねり角が同じ角度になるよう調整します。ファイルホルダーにファイルひねり角の目安位置をマーキングしておいてください。
  14. 最初のカッターを数回研いで、裏側を確認し、必要なら微調整し、よければそのまま一周してください。
  15. ガレットの掃除
    ダブルベベルでのファイリングができたら、G106B(改) をバーから取り外し、デプスゲージからカッター下部ににかけての間を横刃にきれいにつながる程度まで丸やすり、あるいはスリーコーナーなどのやすりで削ってください(初期に残ってる切削痕の凸があるとできなくはないのですが丸やすりで削りにくいので..)。デプスゲージからカッター横刃にかけて、横幅方向への突出がなく、きれいなラインでつながるようにすると良いでしょう。いくつか例をあげておきます。最初の 2つは STIHL 63PS で、次の2枚は STIHL 36RS、最後の 3枚は STIHL 33RS (3/8, .050/1.3mm 日本未販売)です。
  16. デプス調整
    ガレット処理ができたら、各デプスゲージにデプスゲージジョインターをあてて確認し、上に飛び出している部分をすべてのカッターで同じデプスゲージ高さとなるよう平ヤスリ、ダブルベベルの中央などで削って調整してください。最初は水平に削って高さを決めて、最後に前側を斜めに落としてスムースなアールになるように仕上げます。
    3種類のデプスゲージ高さをはかるためのジョインターと実際に測っている画像を載せておきます。この他にもハスクバーナのジョインターなどがあります。どれかお好みのタイプのジョインターを使うと良いでしょう。
    デプスゲージとカッターとの高さの差は、0.025"(インチ)から0.030"(インチ)、0.64mm から 0.76mm と言われています。広葉樹などのかたい木 (Hard wood) の場合は小さく (.025", 0.64mm)、柔らかい木 (Soft wood) の場合は大きく (.030", 0.76mm) とります。Oregon製のものはインチ表記で .025インチで STIHL のものは mm 表記で 0.65 と書かれています。Oregon製ソーチェンの中には、カッターのデプスゲージ横に 25 と、デプス量を示す刻印があるものがあります。デプスを落としすぎたり、カッターごとに高さが違ってたりすると、切れ曲がったり、ソーチェンが暴れてしまい、非常に扱いにくい危険な刃になりますので注意してください。
これで完了です。
スライド部の◯棒、ピボットのブッシュ部分には定期的に注油してください。がこがこ引っかかりだしたら多分ここの油切れです。当方からの出荷時に低摩耗極圧潤滑剤を塗布してあります。手が汚れにくいような油種を薄く塗布すると良いでしょう。
スライド部をフルストロークして前後のファイルホルダーがピボット部をかんかん叩かないようにしてください。